高砂市病院事業管理者のご挨拶

病院事業管理者 院長 渡部 宜久

 令和2年12月に高砂市病院事業管理者に任命され1年余りが経過しました。この間、市民病院の経営安定化に向けて、病院の全職員がそれぞれの立場で、今までできていなかった事をできる所から改善していくように、いろいろな機会を利用して意識付けを行いました。各診療科の医師とも病院の目指す方向や各科のかかえる問題点や要望などについて話し合い、就任4カ月後の令和3年4月に副院長3名を指名して院内の体制を整えました。

 内科の井垣副院長は市民病院健診センター長兼任で、病院の要である内科診療の質の維持・向上だけでなく、市民の健康を守る市民病院独自の質の高い健診体制を構築し、兵庫県内でも低い値である高砂市の健診率を上昇させる事を期待しています。整形外科の長谷川副院長は、整形外科診療の充実、外科系の各科の問題点の把握、岡山大学の医局との連携強化などの担当です。看護局長兼副院長には、看護局だけでなく事務、検査、放射線、薬局、リハビリなど各部門からの意見の拾い上げと、協働における橋渡し役として積極的に活動してもらっています。

 市民病院は地域の公的病院として、新型コロナ感染症に積極的に対応し、令和3年にはPCR検査、感染患者の入院受け入れ、ワクチン接種の3つを同時に実施しました。PCR検査は、令和2年3月に検体採取を開始し、院内で遺伝子検査ができるように検査機器を整え、検体採取専用のプレハブを設置し、現在では1日60件以上の検査ができる体制を整えています。

 入院診療は令和2年4月に2床から開始し、最大で23床の入院病床を確保しています。軽症から中等症の入院を対象にしていますが、第3波では延命治療を希望しない高齢の患者さんや認知症の患者さんを受け入れました。令和3年4〜5月の第4波では、兵庫県内の重症例が多く拠点病院への転院が困難となり、設備も人も足りない状態で、入院中に重症化した患者さんの人工呼吸器による治療や手術も行いました。担当の内科・外科・麻酔科医師、看護師らが協働して対応しなんとか乗り切ることができました。第5波では重症例の入院はなく、ワクチン接種の効果と考えています。昨年4月からのワクチン接種では、市役所、医師会と密接な連携を取り、医療者に対する先行接種、市役所の集団接種、市民病院の個別接種、三菱重工、高砂商工会議所の職域接種を担当しましたが、医師、看護師、コメディカルと事務局の協働作業で問題なく実施できました。

 おわりに、高砂市民病院は、コロナ中もコロナ後も、急性期・回復期・終末期の3つの機能と健診センターの充実により地域住民の健康を支えます。市民病院で対応できない疾患については、超急性期や高度医療を提供する病院へと診療をつなぎ、回復期の機能を生かして、急性期の治療終了後は在宅療養や施設の入所へとつなぐ場を提供します。

 今後も病院の全職員が部署をこえて協働し、地域のかかりつけ病院、地域をささえ・つなぐ面倒見のいい病院として日々診療を行っていきます。

令和4年
高砂市病院事業管理者 院長 渡部 宜久