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呼吸器外科
呼吸器外科のご紹介
当科は呼吸器外科専門医の資格を持つ常勤医2名の体制で平成22年4月に開設しました。近隣には呼吸器外科を専門とする病院は少ないため、地域の中核病院として紹介患者数、入院患者数、手術件数ともに増加傾向にあります(表1)。なかでも気胸患者様には特に力を入れており、胸腔鏡を用いた手術を基本としています。それ以外にも原発性肺癌、縦隔腫瘍、膿胸、悪性胸膜中皮腫などに対する手術実績もあります。
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表1:当院の呼吸器外科手術件数の推移 |
呼吸器外科の学会発表、論文発表
スタッフ紹介
氏名 |
肩書 |
専門分野 |
専門医・認定医 |
主要所属学会 |
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的場 保巳
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部長 |
胸部外科 消化器外科 血管外科 |
日本外科学会 専門医・認定医 日本胸部外科学会 認定医 日本呼吸器外科学会 専門医 平成16年度兵庫県医師会指導医のための教育ワークショップ |
日本外科学会 日本消化器外科学会 日本呼吸器外科学会 日本胸部外科学会 日本肺がん学会 日本臨床外科学会 日本内視鏡外科学会 |
坪島 顕司 |
部長 |
呼吸器外科 一般外科 |
日本外科学会 指導医・専門医 日本呼吸器外科学会 専門医・評議員 日本がん治療認定医機構 暫定教育医・認定医 平成18年度島根県臨床研修指導医講習会 |
日本外科学会 日本呼吸器外科学会 日本気胸・嚢胞性肺 疾患学会 日本肺がん学会 日本内視鏡外科学会 |
若原 鉄平 |
医長 |
緩和医療 呼吸器外科 一般外科 |
日本外科学会 専門医 日本呼吸器外科学会 専門医 日本がん治療認定医機構 認定医 日本緩和医療学会 認定医 日本緩和医療学会 研修指導者 緩和ケアの基本教育に関する 指導者研修会修了 |
日本外科学会 日本緩和医療学会 日本呼吸器外科学会 日本胸部外科学会 |
呼吸器外科 週間外来診療予定表
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
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1診 |
午前 |
坪島 |
手術 |
- |
坪島 |
手術 |
※3月22日から休診になります
<備考>
2診、3診は初診
気胸患者さんへの取り組み
気胸センターを新たに開設しました。詳しくは気胸センターホームページをご参照下さい。
手術について
胸腔鏡という5~10mmの筒状のカメラ(図1)を使う手術を基本としています。
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図1:当科では5mmの細径胸腔鏡を採用しています。10mmのものと比べても必要十分な視野も得られ、小さな傷で済む利点があります。ハイビジョンにも対応しています。 |
モニターを見ながらブラを自動縫合器という機械で切除します(図2)。
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図2:モニター画面を見ながら、胸腔鏡下手術(単孔式)を行っているところです。 |
この方法は既に日本中に広く普及しておりますが、多くの施設では図のように3つのポート(図3)を胸に留置して手術を行っています。1つのポートを留置するために1~2cmの傷をつける必要がありますが、気胸患者様は特に若い方が多いため、あまり多くの傷をつけることは美容面で無視できない問題です。
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図3:傷を保護するゴム製のプロテクターやプラスチック製の筒を一時的に留置して手術します。 |
そのため当科では、全ての方が対象にはなりませんが、ブラの数や胸の中の状態によって20mm前後の1つの穴で手術を行う単孔式手術も行っています(図4)。
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図4:胸腔鏡手術における傷の位置。状況に応じて当科では2孔式、単孔式を採用しています。 |
当科で考案した胸壁滑車法(図5:胸の壁で滑車をつくり肺に縫い付けた糸で病変部を自在に動かす方法です)を併用することで無理なく単孔式手術を行っています。また肺を切除した部分には人工物でできた吸収性のシートをあて補強しています。
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図5:胸腔鏡下手術(単孔式)を行っているところ |
傷を閉じる時には抜糸のいらない溶ける糸や外科用のテープを使用しますので術後も傷があまり目立ちません(図6)。早い方では、術後2日目に退院することも可能です。
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図6:胸腔鏡下手術(単孔式)後の傷の様子 |
気胸手術を行ったあとに5~10%ほどの方が再発をしてしまうことが知られており、当科で手術を受けられた方はしばらく外来で経過観察させていただく方針としています。
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図7:生理の時に起こる気胸(月経随伴性気胸)の方の胸腔内の様子です。 |
再発を繰り返す方への対応
細心の注意を払って治療を行っても体質によっては何度も気胸を繰り返す方がいます。再発された方は胸の中に癒着が起こることがありますが、その場合も可能な限り胸腔鏡での手術を心がけています。また次々に多くのブラができる方の場合、全てを切除することは困難なこともあります。その場合は肺を補強するシートを広範に被覆したり、状況によってブラを比較的低温で焼灼し収縮させる方法も採用しています。
体力的に全身麻酔での手術が難しく他院では治療困難な場合でも、それ以外の麻酔方法で目の覚めた状態で手術を行うこともあります。
他院で治療後の方でもお悩みの方はご相談下さい。また比較的まれな月経に関連した気胸など特殊な気胸症例の治療経験も豊富にあります。
肺がん患者さんへの取り組み
肺がんには肺から発生した原発性肺癌と他の部分に発生した悪性腫瘍(大腸癌など)が肺に転移したものがあります。病気の状態によって治療方針が異なります。当院では診断から治療まで一貫して対応することが可能です。また放射線治療に関しては近隣の医療施設と連携し加療にあたっています。
手術について
胸腔鏡を用いて3つの傷で行う手術を基本としています。従来の大きな傷に比べると回復も早く、手術の翌日から歩行したり、ご飯を食べていただきます。退院後は多くの方が、問題なく日常生活を送っておられます。
術後治療について
手術して得られた組織(肺やリンパ節など)を用いて病理検査を行います。それにより最終診断が得られますが、病気の進み具合(病期、ステージ)によって再発を予防する治療が必要となります。内服や点滴での抗がん剤投与が必要となった方は引き続き当科で加療させていただきます。ご病状やご希望によって外来通院や入院での加療を選択することも可能です。