中央検査科

病理検査

病理検査室では、病気(疾患)の診断や原因(病因)の究明を目的として、 手術または検査の目的で採取された臓器、組織、細胞などを対象に顕微鏡等を 用いて詳しい診断を行っています。
病理検査は、検体の種類・採取方法や目的によって組織検査と細胞診検査に 分けられます。

組織検査

患者様の病変部から採取した臓器や組織の一部を2~3μm(1μmは1mmの1000分の1)程度に薄く切り、スライドガラスに貼り付け、見やすく色づけして顕微鏡で細胞や組織の構造や細胞の形態を観察し、病理医が診断します。

1.検体
内視鏡検査や外来等で採取された病変部の小さな組織、はホルマリンという液 に浸されて提出されます。手術で摘出された胃や乳腺などの大きな組織もホルマ リンの入った大きな容器で一定時間浸して固定(組織の形態が変化するのを防止) し、提出されます。
2.ブロック作製
小さな組織は専用容器(ブロック)に入れ、大きな組織は固定完了後、病理医 と検査技師によって適切な大きさに切り分け必要箇所をブロックに入れ、 専用機器を使い、最後はパラフィンというロウに埋め込み固めます。
3.薄切
固められたブロックをミクロトームという機器を用いて厚さ2~3μm程度に 薄く切り、スライドガラスに貼り付けます。
4.染色
細胞の核と細胞質を染め分けます。染め上がった標本をカバーガラスで封入し 標本が完成します。
5.鏡検・結果報告
出来上がった標本を病理医が顕微鏡で観察し、組織診断名(病名)と所見を 報告します。


 

写真左:正常な胃粘膜。大きさの整ったきれいな腺管が整然と配列しています。
写真右:癌化した胃粘膜。大きさも形もバラバラな腺管が不整に増えています。

 

迅速診断

手術中にリンパ節転移や断端などの評価を行う検査です。凍結したブロックをクリオスタットに設置し、薄切を始めます。

細胞学的検査(細胞診)

患者様の病変部から採取させていただいた細胞をスライドガラスに塗り、見やすく色づけして顕微鏡で個々の細胞を観察し、どんな細胞で構成されているのか、患部の病変は何かを病理医・細胞診指導医(医師)細胞検査士(臨床検査技師)とが判定・診断します。主にがん細胞の有無を観察しますが、細胞採取にあたり患者様が痛みを伴わずに検査できる剥離細胞診と、若干の痛みを伴う穿刺吸引細胞診があり、子宮がんや肺がん、膀胱がんなどの検診および早期発見に役立っています。

検体の種類

    婦人科の子宮頸部・子宮体部・膣壁・外陰部や気管支鏡下で気管支表面などから綿棒やブラシで擦って採取した擦過標本、甲状腺・乳腺・唾液腺・皮下などにできた腫瘍に針を刺して細胞を吸引した標本、喀痰、尿、胸水、腹水、心のう液、髄液、胆汁、膵液、関節液など液状で組織標本が作製できないものなど、全てが検体となります。

細胞診の業務
1.標本作製 採取された検体をスライドガラスに塗沫します。
子宮膣部・子宮体部細胞材料は医師が診察時に擦過し塗沫します。
2.固定 目的に応じた方法で細胞を固定(細胞の形態が変わらないように)します。
3.染色 細胞の核と細胞質を染め分けます。染め上がった標本をカバーガラスで封入し、標本が完成します。
4.鏡検

出来上がった標本全面を顕微鏡で観察します。


 

細胞診で用いる染色は,Papanicolaou染色です。全体に青色がかった色調になります。
検体の中に悪性細胞がないかどうかを顕微鏡で確認します。